【京都市東山区】東山の麓、歴史ロマンあふれる寺院の境内で、6月15日、勇壮な仏事がありました。紫陽花もきれいに色づいています。智積院 青葉まつり
「布団着て寝たる姿や東山」と詠われた穏やかなイメージのある東山の麓でも、かつて数々の歴史の胎動がうごめいていました。真言宗智山派総本山智積院もその一つです。
この地は自らの極楽往生への道筋として、豊臣秀吉が造立したとされる、墓所の阿弥陀が峯から京の大仏へ、正面通を通って西本願寺の阿弥陀堂へと続く道の途中にありました。早逝した秀吉と淀君との第一子、鶴松の菩提寺として建立された祥雲禅寺のあったところです。利休好みの庭園はその名残です。
没して後も、秀吉の野望を阻止したのはやはり、徳川家康でした。関ケ原の合戦に勝利した家康は、西本願寺と大仏を分断して、正面通の真ん中に、かつて秀吉が退隠させた教如上人に土地を与え、東本願寺を築きます。この祥雲禅寺は、かつて秀吉が紀州攻めで滅ぼした、根来山由来の智積院・玄宥僧正に与えて、智積院として復興を図ったのです。
2021年6月15日、真言宗の宗祖・弘法大師と中興の祖・興教大師の生誕を祝う、青葉まつりがありました。慶祝法要や山伏による柴燈大護摩供法要などが行われました。秀吉の紀州根来寺進攻から家康の京都差配へ、歴史ロマンあふれる寺院の境内で催された仏事には、密教の世界観と時代に抗した勇壮さが垣間みえました。
境内奥にある紫陽花苑では、多彩な色とりどりの紫陽花が綺麗に咲き誇っていました。この日は、長谷川等伯一門による桜・楓図(国宝)も無料拝観されていました。
まだ比較的穴場と言えますので、静かに拝観できますよ。
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