【京都市下京区】月鉾の車軸にずれ、調整のため十数メートルの移動 技術継承のため各町で山鉾が建てられています。
京都の夏を彩る祇園祭で、山鉾を組み立てる「山鉾建て」が始まり、2021年7月12日には、技術継承のため組み立てのみを行ういくつかの山鉾が、豪華な懸装品(けそうひん)の飾りつけなども終え、ほぼ全容を現しました。
新型コロナウイルスの影響で、祇園祭のハイライトとも言われる「山鉾巡行」は、去年に引き続き中止されています。「山鉾建て」は2年ぶりとなります。
そのうち、四条新町の月鉾では、組み立ては完成したものの、大勢の曳き手が集まって、車軸の調整のための十数メートルの移動が行われました。
月鉾保存会社務所の前で月鉾の法被を着て、静かに様子を見守っていた長老に尋ねると、「技術を繋ぐのはだいじや。わしらでも2年たったら分らんようになったりする。今回も去年見送っただけで、車軸にずれが生じていた。若いもんにも覚えてもらわんならんし、来年こそは巡行ができることをみな願ってるんやないか」と疫病退散の神事に対する思いを語っていただけました。
月鉾は、応仁の乱以前よりあり、鉾頭に新月、天王座には月読尊を祀っていることから、月鉾と呼ばれています。山鉾34基の中でも最も大きく、重い鉾とされ、鉾を飾る装飾も見事で、動く美術館と讃えられています。
2021年の「山鉾建て」は、17の保存会で実施される予定ですが、祇園祭山鉾連合会では、観覧は控えるよう異例の呼びかけを行っています。
職人さんたちの汗、保存会の皆さんの努力、私たちの願いが届くことを祈るばかりです。
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